カミングアウトなしでの性別移行
written by リョウ
トランスジェンダーとしては珍しいかもしれませんが、私は家族や友人に自分がFTMだとカミングアウトした経験がありません。
高校生頃までは、単純に拒絶される事が怖かったからだと思います。
しかしながら、大学に入った辺りから、カミングアウトに対する考えは変わりました。
カウンセリングに通うようになり、担当医から周囲へのカミングアウトを進めるように言われました。ある程度カミングアウトが進んで、社会的に受け入れられてからでないとホルモン治療を進められないから、との事でした。
やらなければならない事だと頭ではわかっていても、実際は中々カミングアウトは進みませんでした。
そんな中でふと思い至りました。ちょっと待て、なぜわざわざ、FTMである自分を誰かに「認めてもらう」必要があるんだ、と。ただマイノリティーであるだけなのに、なんとなく、自分がマジョリティーに対してへり下らなければいけないような気がして、当時の自分にはすごく理不尽に感じられました(考えすぎだったのかもしれませんが・・・)。
結局カウンセリングは他の病院で受診をする事にし、無事に診断を受け、ホルモン治療を進め、20代半ばで戸籍変更にまで至りました。
そんなわけで、私の人生においては親しい人間へのカミングアウトはしていません。
有難いことに家族は何も言わずとも気づいてくれ、見た目や声が変わってもずっと変わらず支えてくれていますが、学生時代の友人とは全て関係を切りました。
一人で休日を過ごしていて、時々寂しいなと思う事もありますが、友達がいたらいたできっと、違う種類の寂しさを味わう事もあるだろうなと思うので、後悔はしていません。
自分が自分らしく堂々と、のびのび生きていくのが最善の人生だと思っています。