30代で戸籍名を変更した話

30代で戸籍名を変更した話

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written by 宮田 りりぃ


私は、30代前半頃に戸籍名を変更したトランス女性(MtF)です。
それ以前から、主に通称名で生活を送っていたのですが、その中で外見や通称名と戸籍名とが異なっていることを説明しなければならない場面がしばしばあって「いい加減わずらわしいな」と思ったり、役所などから届く戸籍名が記載された書類を見て「もう男性名に縛られたくないな」と思ったりしたことがきっかけでした。
また、この当時は望みの性のあり方で長年生活を続けてきた私のことをようやく親が受け入れる・・・というか諦めるという感じになっていて、「そろそろ名前変えても文句言われないかな」なんて考えるようになったタイミングでもありました。

それから、私は長年女性ホルモンを投与してもらっていた内科のクリニックに加え、念のためジェンダークリニックも受診して必要な書類を書いてもらい、家庭裁判所に何回か通って、わりとスムースに戸籍の名を変更することが出来ました。
なお、私は20代前半まで自分をシスジェンダー(トランスジェンダーではない)男性だと思って生活していたし、戸籍名を変えるためとはいえ自分の性のあり方を病気だとみなされることには抵抗感があったので、「ジェンダークリニックで必要な書類がもらえなかったらどうしよう」なんて少し不安でしたが、担当してくれた医師は現在の生活状況を重視してくれたようで、滞りなく戸籍名が変更できるよう丁寧にサポートしてくれたという感じでホッとしました。

こうして戸籍名を変え、すでに5年程経ちましたが、親や親戚は未だに変更する前の男性名で私を呼びます。最初の方はあまりいい気がしませんでしたが、別にトランスしてもお互いの関係性は昔と変わらないし、ある時から「これからはこの名前で呼んで!昔の名前は使わないで!」なんて相手に強いるのも変かなと考えて、今ではあまり気にしないようになりました。
また、とりわけ影響が大きかった結果は、前述した外見や通称名と戸籍名とが異なっていることをいちいち説明しなくてよくなったり、望まない男性名が記載された書類を見る機会がほとんどなくなったりしたことです。ひょっとしたら戸籍名まで変えなくてもそれらを回避する手段はあったのかもしれませんが、それまでの小さなわずらわしさが積み重なって知らないうちに大きなストレスになっていた状況だったので、戸籍名を変更することでそれらをいっきに解消できて良かったと思っています。
ちょっと大げさに言うと、少しの変化でも大きな変化につながる可能性があることを学べた・・・そんな経験でもありました。

以上、簡単ですが私が30代で戸籍名を変更した話でした。


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