就職と離職を繰返しながらのトランジション
written by M.M
この体験談は、大学卒業から約3年をかけて、就職と離職を繰り返しながら徐々にトランジションを進めたお話です。
2008年3月に大学を卒業しましたが、当時はスーツを着ることも嫌で就職活動もろくにできず、かといって何もしないのもどうかと思い、派遣会社に紹介してもらった職場Aにて、事務の仕事に男性として就くことになりました。
この頃は仕事は男性、プライベートは女性として、いわゆるパートタイムの生活をしていましたが、1年経った頃にどうしても立ち行かなくなってしまい、2009年3月に退職をします。
今度は女性として就職すべく、心機一転就職活動を始めます。就職支援センターの方にサポート頂いたり、就職セミナーを受けたり。とはいえ名も戸籍も未変更。それでも良いと思ってくれる企業があると願いながら、履歴書の備考欄に自分の性別のことを記載して応募する日々でした。
その結果、2010年2月にご縁を頂いた会社に就職。通称名で、女性として雇い入れて頂けることになりました。性別とは別の理由で、残念ながら半年ほどで退職することになってしまいましたが、女性としての就業実績もでき、同年の夏に診断書を取得の上で改名する運びとなりました。
改名し、改めて仕事を探すことになったのですが、この後自分でも想像していなかったことが・・・。
なんと、職場Aに女性として復帰することになったのです。
当時の派遣会社を通じても仕事に応募していたのですが、それを見た担当者が声をかけてくれ、2年ぶりに復帰することになりました。当時のメンバーも何人かいらっしゃいましたが、何事もなかったかのように受け入れて頂き、以前のような窮屈な思いもすることなく、働けるようになりました。
私はそれほど器用な人間でもないので、当時は在職したままのトランジションは難しいと判断し、一旦離職してトランジションという選択肢を選びました。スパっとフルタイムに移行したことで、徐々に自分の生活に自信を持てるようにもなりました。
トランジション後に同じ職場に復帰したことは偶然かもしれませんが、それまでの時間が解決してくれた問題もあります。思うように事が進まない時期もありましたが、自分にとって必要な時間だったのだと思います。
あれから約10年。現在は別の会社に転職して5年目に入り、さらなるキャリアを積んでいる最中です。
ついでに言うと、今までにホルモン治療もSRS(性別適合手術)もしていません。
今後のことはわかりませんが、今の身体で行けるところまで行ってみようと思っています。