「次期学習指導要領等に向けたこれまでの審議のまとめ」へのパブリックコメント|文部科学省

「次期学習指導要領等に向けたこれまでの審議のまとめ」へのパブリックコメント|文部科学省

Posted by jimukyoku 日時 2016/10/07

Share:


文部科学省初等中等教育局教育課程課が行ったパブリックコメントに対して、以下のような意見を提出しましたのでお知らせします。

案件番号 185000847
案件名 「次期学習指導要領等に向けたこれまでの審議のまとめ」に関するパブリックコメント(意見公募手続)の実施について
所轄 文部科学省初等中等教育局教育課程課
意見募集期間 2016年09月09日~2016年10月07日
弊法人による意見提出日 2016年10月07日

分類番号18「第2部 2.(11)体育、保健体育」について

私たち一般社団法人gid.jp 日本性同一性障害と共に生きる人々の会は、次期学習指導要領等改訂に際し、全国に1500名超を擁する日本最大規模の性同一性障害当事者団体として、2つの観点から以下のように意見を表明いたします。

観点1:性同一性障害に対する配慮と対応
主に保健関連授業において、思春期の第二次性徴に関して解説する際、一般的な性徴について男女の違いを観点に盛り込んで提示することは、多くの児童生徒が思春期特有の身体的・心理的変化(たとえば、異性に興味を覚えること 等)を自然なものとして受け止めていくための必要な知識であると考えます。
しかしながら、それだけが正しい性徴・成長であることを強調されてしまうことで、希死念慮や自殺企図にまで発展し得る自己否定感を抱くセクシャルマイノリティ当事者が存在します。
学習指導要領では、一般的な性徴はあくまで一般的なものであって、それとは異なる軌跡を辿る者がいること、それが決して間違ったこと・おかしなことではないことを言及することが望ましい旨、明記していただきたいと考えます。また、それらについて悩みを感じた際には教員などに相談できることや相談窓口の紹介などもあわせて紹介されるとよりよいと考えます。

観点2:セクシャルマイノリティ(LGBT)という括りの弊害
昨今LGBTという括りでセクシャルマイノリティ当事者を捉える風潮が勢いをもっておりますが、セクシャルマイノリティ当事者のなかでも少数派である性同一性障害当事者は、そのムーブメントのために同性愛当事者と混同・誤解されて苦しい思いをしています。LGBTあるいはセクシャルマイノリティの共通項は「性に関する一般的でない特徴を持つために受ける社会的偏見・障壁」であり、それ以外の部分ではむしろその違いが明確です。特に、日本において「トランスジェンダー」という表記は、生き方の自己選択という権利擁護活動のなかで用いられている言葉であり、日常社会生活に生きづらさを感じているために福祉的な合理的配慮を必要とするような性同一性障害当事者とは一致しません。
第二次性徴に言及する際には、性別には、「性的指向」「性自認(性の自己認知、ジェンダーアイデンティティとは異なる)」「性役割」などの要素があり、「性的指向」に関して特徴を持つ者が同性愛者、両性愛者、アセクシャル(無性愛者)、肉体に反映された性別の特徴と性自認とが不一致状態にある者を性同一性障害当事者として説明されることが適当と考えます。
こうした文脈から、学習指導要領等において”LGBT”という言葉を使用することも適当でないと考えます。

以上