性同一性障害を有する者の旅券(パスポート)についての要望書2013|外務省
2013年4月23日、一般社団法人gid.jp日本性同一性障害と共に生きる人々の会は、外務省に対し、性同一性障害を有する者の旅券(パスポート)についての要望書を提出しました。
提出した要望書の内容をみなさまにお知らせします。
外務大臣 岸田 文雄 様
【要望の要旨】
- 旅券に記載する性別は、少なくとも身体の状態に合わせた性別表記としてください。更に、社会生活上の性別を基準とすることを検討してください。
- パスポートの性別欄に、MとFだけでなく国際民間航空機関(ICAO)でも認められている 「X」記載を選択できるようにしてください。
【要望の理由】
平素は、性同一性障害の問題にご尽力いただき、心より御礼申し上げます。
私たちは、全国に1150名の会員が所属する性同一性障害の当事者団体です。
性同一性障害とは、身体上の性、社会生活上の性と精神の性が一致しないことにより、多大な苦痛 ・苦悩を有する状態のことをいいます。
現在、旅券(パスポート)の性別記載は、戸籍の性別を基に記載されています。しかし、性同一性障害特例法の要件を満たさないなどにより性別の取扱いの変更を行うことができない性同一性障害の当事者は、このために多大な苦痛を受け、弊害に遭遇しています。
まず、入出国のイミグレーションで本人かどうか疑われます。ホテルのチェックインやクレジットカード、トラベラーズチェックの使用と言った場合にも旅券の提示を求められることがあり、無用なトラブルに巻き込まれます。場合によっては、ヘイトクライム(憎悪犯罪)により、殺される可能性さえ無くはありません。特に男女に扱いが異なる国においては尚更です。
特に9.11同時多発テロ事件以来、入出国時に厳しく検査されるようになり、様々なトラブルが起きています。
旅券の最初のページには「日本国民である本旅券の所持人を通路故障なく旅行させ、かつ、同人に必要な保護扶助を与えられるよう、関係の諸官に要請する。」とありますが、性同一性障害の当事者が旅券を保持して旅行することは、逆に本人を危険にさらすことになりかねないのです。
そこで、旅券に記載されている性別を、少なくとも性別適合手術をすでに受けている者は、現在の身体の状態に合わせた性別表記とし、さらに可能であれば、異なる性で生活をすでに送っているなど、緩和した条件で性別記載が行われるよう要望いたします。また、国際民間航空機関(ICAO)でも認められている、性別欄「X」記載の採用もお願い致します。これは、オーストラリアを始め、多くの国で採用されています。 ぜひご検討をいただき、この問題の更なる解決に、ご助力いただきたくお願い申し上げます。
平成25年6月13日
一般社団法人gid.jp日本性同一性障害と共に生きる
代表 山本 蘭