性同一性障害諸問題についての要望書2009|日本精神神経学会

性同一性障害諸問題についての要望書2009|日本精神神経学会

Posted by jimukyoku 日時 2009/08/10

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gid.jp(性同一性障害をかかえる人々が、普通にくらせる社会をめざす会)では、日本精神神経学会に対し、第105回学術総会が8月22日に開催されることを期に、性同一性障害をめぐる諸問題につき更なる対応をお願いすべく、要望書を提出いたしました。

日本精神神経学会は、「性同一性障害に関する診断と治療のガイドライン」を策定するなど、この問題に関して主導的役割を果たしてきています。本要望書の提出より、私達当事者の声が日本精神神経学会の今後の活動に反映され、当事者に対する医療の提供やQOL(生活の質)の向上が、一層円滑に進むことを期待いたします。


要望書

 

日本精神神経学会 御中

平素は、性同一性障害に関する諸問題に、診察や環境整備などを通じ、様々なご尽力をいただいておりますこと、深く感謝申し上げます。

昨年には「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」が改正され、懸案となっておりました子のある当事者の戸籍上の性別変更が、不十分とは言え可能となりました。
これも、一重に日本精神神経学会様を始めとする医療機関のみなさまなど関係各位のご支援によるものと、厚く御礼申し上げます。<
しかしながら、国内医療は現在危機的状況に陥っています。特に地方における性同一性障害に対する精神科医療の乏しさや、身体的治療施設の不足から、国外での手術を選択せざるを得なくなっています。
このような状況を少しでも改善すべく、今後日本精神神経学会様が主導的役割を果たし、性同一性障害医療の推進にご助力頂きたく、当会からの要望をまとめましたのでご査収くださいますと共に理事の皆様および会員の皆様方のご理解とご協力を賜りたく、お願い申し上げます。

  1. 性同一性障害治療が可能な医療機関の拡充への助力
    ジェンダークリニック機能を備えた総合的医療が可能な病院や精神療法が可能なメンタルクリニックの拡充をお願いいたします。特に地方都市においては急務ですし、性別変更を行った者の内、国内での手術を選択した人は20% 以下という状況にあり、早急な改善が望まれます。
  2. 性同一性障害の健康保険適用実現への助力
    精神科料領域においては性同一性障害を傷病名へ追加していただくご助力に加え、身体的治療への保険適用実現へ向け、ご協力をお願いいたします。
  3. 性同一性障害を診断可能な精神科医の育成や研修の実施
    貴会作成のガイドライン第3 版11 ページのV-2(5)に、「医療チームを結成するには、少なくとも中心メンバーは、日本精神神経学会の主催する(あるいは委託する)専門家研修会での研鑚を積んでいることが求められる。」と記載されています。ぜひとも医療チームの中心をになう、専門家の育成をお願いいたします。
  4. 性同一性障害に関する診断と治療のガイドラインの見直し
    ガイドラインは第3 版になりましたが、その後の多様化する当事者への対応がいまだ十分とはいえず、性別適合手術まで進めるためには、気の遠くなるような、手続きが必要となっています。 判定会議の必要性の再検討や、判定委員会の機能と治療実施機関を分け、判定委員会の承認があれば、どの医療機関でもホルモン療法や手術を受けることができるようにするなど、国内医療の現状を踏まえ、実情に合った改定がなされるよう望みます。
  5. 性同一性障害特例法再改正への助力
    昨年特例法が改正され、子のある性同一性障害の当事者でも、子が成人していれば戸籍の性別変更が可能となりました。しかしながら、未成年の子のある当事者が取り残されるなど、まだまだ制限が残されています。ぜひ再改正に向けたご協力をお願いいたします。
  6. 委員会活動の推進
    性同一性障害をめぐり、以上のような課題が山積しております。貴学会の「性同一性障害委員会」を実効性のある活発なものにし、問題解決にご尽力ください。

以上、ご検討の程、宜しくお願い申し上げます。

性同一性障害をかかえる人々が、普通にくらせる社会をめざす会(gid.jp)
代表 山本 蘭
副代表 厚生労働統括 北白川 あきえ