戸籍上の性別変更後の医療受診と保険適用に関する質問をしていただきました|佐藤秀道衆議院議員
令和6年5月13日、特例法が求める要件のうち、生殖機能をなくす手術を求める要件について、最高裁判所大法廷が「憲法が保障する意思に反して体を傷つけられない自由を制約しており、手術を受けるか、戸籍上の性別変更を断念するかという過酷な二者択一を迫っている」ため、憲法に違反しており無効であると判断しました。
この最高裁の違憲判断を受け、性別適合手術を受けず、出生時の性器等に関わる身体的特徴をもったまま、戸籍上の性別変更を行う道が拓けました。当事者等から歓喜の声があがるなか、戸籍の性別変更後に出生時の性器等に関わる疾患に罹った際、公的医療保険制度の適用を受けられるのだろうかという心配の声が弊法人に寄せられていました。
私たちのこうした不安の声を受けた衆議院議員佐藤英道氏が、令和6年5月13日に開催された衆議院決算委員会第三分科会の場で武見厚生労働大臣及び濱地副大臣対して質疑されました。
結果、私たち当事者は戸籍の性別の状況にかかわらず、身体的疾患について適切に医療行為及び公的医療保険制度の適用を受けられるものと理解される答弁を確認することができました。私たちの不安に心を寄せて安心を与えてくださった佐藤英道議員に感謝し、ここにご報告します。
以下は弊法人スタッフが当該分科会のインターネット中継を見聞きして概要をまとめたものです。正式な議事録から引用しているものでありませんので、扱いにはご留意下さい。
【佐藤英道儀議員の発言概要】
一般社団法人gid.jp日本性同一性障害と共に生きる人々の会から、医療機関を受診する際の不安の声があった。
質問1 戸籍上男性となったFTM当事者が女性器由来の疾患に罹った場合、治療は公的保険診療の対象となるか。
質問2 戸籍上男性となったFTM当事者が婦人科で入院する場合、病室について配慮されるか。
質問3 戸籍上男性となったFTM当事者が婦人科外来を受診する際、自身の体について一々説明する必要があるか。
【伊原政府参考人の発言概要】
保険診療については、医学的な必要性に基づいて診療が必要と認められる疾病に対して、的確な診断を基に行うことになっている。診療報酬上、生物学的な性別に特有の疾患に対する診療について、戸籍上の性別に係る制限は設けていない。例えば、戸籍上男性となったが子宮を有する当事者が子宮がんに罹患した場合における手術等の診療については、保険診療の対象であるということは明らか。誤解がないようにしっかりと現場に対処、対応していく。
【浅沼政府参考人の発言概要】
医療は、医療の担い手と医療を受ける人との信頼関係の下で行われている。医療機関では、LGBT理解増進法の趣旨も踏まえ、患者との適切な関係を構築することが重要だと認識している。厚生労働省としては、自治体に対して、病院等への立入検査や医療機関の担当者への研修等の機会により、性同一性障害の当事者等が不当な取扱いを受けることがないよう徹底することを要請している。性的指向やジェンダーアイデンティティーを理由とする不当な差別や偏見はあってはならないと考え、LGBT理解増進法の趣旨を医療関係者に対して周知をしていく。
【佐藤英道議員の応答概要】
人権に配慮した対応の徹底を引き続きお願いします。