性同一性障害に関する性別欄についての要望書2013|総務省

性同一性障害に関する性別欄についての要望書2013|総務省

Posted by jimukyoku 日時 2013/06/13

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2013年6月13日、一般社団法人gid.jp日本性同一性障害と共に生きる人々の会は、総務省に対し、性同一性障害に関す性別欄についての要望書を提出しました。
提出した要望書の内容をみなさまにお知らせします。


総務大臣 新藤 義孝 様

【要望の要旨】

  1. 公文書からの不要な性別欄の削除をお願いいたします。また、それを各自治体において実施 するよう通達・通知を発してください。
  2. 印鑑登録証明書から性別欄を削除してください。
    具体的には、昭和49年に旧自治省が定めた「印鑑登録証明書事務処理要項」を改訂し、 「男女の別」の記載を削除してください。
  3. 住民基本台帳法を改正し、住民票の写しの男女の別記載を選択制にしてください。本籍地や続柄などは省略可能になっており、男女の別も選択できるようにお願いします。
  4. 導入が検討されているマイナンバー(個人番号)カードの性別欄はICチップ上のみの情報とし、表面的な記載からは削除してください。また、番号から性別が判別できるような付番は行わないでください。
    医療など特別な場合を除いて、個人特定に性別情報は不要です。
  5. 担当者が各投票所で確認する選挙人名簿からの性別欄削除と、投票所入場整理券から性別欄を削除してください。また、投票所における男女別投票率の集計につき、本人や周囲の者にわからないような配慮をお願い致します。

【要望の理由】

平素は、性同一性障害の問題にご尽力いただき、心より御礼申し上げます。
私たちは、全国に1150名の会員を有する性同一性障害の当事者団体です。

性同一性障害とは、身体上の性、社会生活上の性と精神の性が一致しないことにより、多大な苦痛・苦悩を有する状態のことをいいます。岡山大学の最近の調査においては、性同一性障害により、不登校を経験した者24.5%、自殺を考えた事がある者が68.7%、自傷・自殺未遂経験者は20.6%と有意に高い数字を示しています。

平成15年7月には「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」が成立し、一定の条 件を満たす者につき、戸籍の性別の取扱いの変更の申し立てが可能となり、また、平成20年6 月には改正が行われ、子どもを持つ当事者でも、子が成人していれば性別変更ができることになりました。
その結果、昨年末までに性別の取扱いの変更を行った者は3584名に達しました。これも、大臣を始め政府のみなさまや国会議員のみなさまにご尽力いただきましたおかけであり、深く感謝申し上げます。

しかしながら、特例法の成立、改正だけで、私たちの問題がすべて解決したわけではありません。性同一性障害の当事者は3万人以上はいるといわれ、性別の取扱いの変更ができた人はそのうちのわずかに過ぎません。
性同一性障害に関しては、この戸籍の性別の取扱いの変更以外には社会支援策は講じられておらず、まだまだ多くの当事者が差別や偏見により苦しい状況におかれています。

特に、性別の取扱いの変更前の当事者にとって、公文書における性別欄の存在は、大きな苦痛になっています。これに対応して、地方自治体では、東京都小金井市、埼玉県新座市、鳥取県鳥取市をはじめ、200以上の自治体が、印鑑登録証明書や選挙時の入場整理券など自治体で可能な公文書からの性別欄廃止を実施しています。
また、全国市長会が取りまとめた平成16年度国の施策及び予算に関する要望の中には「性同一性障害者の性別の取扱いの特例について法整備がされたところであるが、引き続き、法令等で定める公文書について、性別記載の廃止を進めるべくその様式の改善を図ること。」との要望がなされています。 しかるに、国はそれに対して何らの対応を行っていません。

ぜひご検討をいただき、この問題の更なる解決に、ご助力いただきたくお願い申し上げます。

平成25年6月13日
一般社団法人gid.jp日本性同一性障害と共に生きる人々の会
代表 山本 蘭