戸籍で取り扱われる性別の変更

戸籍で取り扱われる性別の変更

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戸籍の性別変更に関する法的根拠

性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律(全文)

平成十五年法律第百十一号『性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律』の第三条には、以下のように書かれています。まずは、ここに書かれている5つの要件(一~五)を満たしていることが必要となります。

(性別の取扱いの変更の審判)
第三条 家庭裁判所は、性同一性障害者であって次の各号のいずれにも該当するものについて、その者の請求により、性別の取扱いの変更の審判をすることができる。
一 十八歳以上であること。
二 現に婚姻をしていないこと。
三 現に未成年の子がいないこと。
四 生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること。
五 その身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること。
 前項の請求をするには、同項の性同一性障害者に係る前条の診断の結果並びに治療の経過及び結果その他の厚生労働省令で定める事項が記載された医師の診断書を提出しなければならない。
 
※「十八歳以上であること」については、令和4年(2022)年4月1日から施行されるため、それまでは「二十歳以上であること」が要件となります

要件1 十八歳以上であること。通称、成人要件。
要件2 現に婚姻をしていないこと。通称、婚姻要件。
過去に婚姻歴があるかどうかは関係ありません。
要件3 現に未成年の子がいないこと。通称、子なし要件。
かつては「現に子がいないこと」という要件であったため、「子なし要件」と呼ばれていました。平成二〇年六月一八日法律第七〇号により、現在のものに改製されて子が成人していればよいこととなりましたが、こうした歴史的経緯から、多くの性同一性障害当事者やその関係者の多くが「子なし要件」と呼び続けています。性同一性障害当事者や当事者団体の多くが、この要件の削除を望んでいます。
要件4 生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること。要件5と合わせて、SRS要件、は手術要件などと通称されています。
性別適合手術(SRS)を受けなければ、要件4と要件5を満たすことができず、事実上、戸籍の性別を変更するには性別適合手術が必須となっているためです。性同一性障害当事者のなかには、侵襲性の高さへの懸念や手術にかかる費用の大きさなどから、性別適合手術を受けずに希望の性別で社会生活を送っている方が多くいます。本来は性別違和感の軽減が目的であった性別適合手術が、戸籍の性別を変更することを主たる目的とても希望されるようになってしまっています。これらの理由から、性同一性障害当事者や当事者団体の多くが、要件4と要件5の見直しを求めています。
要件5 その身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること。要件4と合わせて、SRS要件、手術要件などと通称されています。

戸籍の性別変更に関する申し立て手続き

より詳しい手続き内容は裁判所のホームページにてご確認いただけます

申立人

性別の取扱いの変更を求める本人

申立先

申立人の住所地の家庭裁判所

申立てに必要な費用

収入印紙800円分
連絡用の郵便切手(申立てされる家庭裁判所へ確認してください)

申立てに必要な書類

(1)申立書
(2)標準的な申立添付用紙
申立人の出生時から現在までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本(全部事項証明書)
※審理のために追加書類の提出を求められることがあります